アメリカ合衆国とメキシコ・・・・国境（ボーダー）で区切られたふたつの国には歴然たる力の差がある。
貧しい側に住む人々は法を犯してでも、職を求めて豊かな国へ密入国する。
運よく越境しても、彼らに与えられる仕事は低賃金の仕事ばかり。
それでも、自国に留まるより夢を持つことが出来る。万にひとつのアメリカン・ドリームを信じて・・・・。

チャーリー（J・ニコルスン）は警官の仕事に疑問を持ち、国立公園の管理官の仕事に移りたいと思っている。
しかし浪費家の妻は、テキサス州とメキシコの国境の町、エルパソに新しい家を購入してしまい、不本意ながら
もチャーリーは国境警備隊に入る。
毎日のように検挙され、また侵入をくり返す貧しいメキシコ人の不法入国者たち。ささくれ立つ仕事は家に帰っ
ても癒されることはない。ある日、メキシコ国境の河で知り合った若い母親、マリアと心を通わすチャーリーだ
ったが、マリアとその弟もまたアメリカへ不法入国を計り検挙された。チャーリーは不正を働く同僚と警備隊長
が賄賂や密入国の犯罪の温床であることを知る。多額の借金を返済するため、仲間になることに同意するチャー
リー。しかしマリアの子供が人身売買の為に誘拐されたことを知ると自らの誇りを賭けた最後の闘いを決意する。
人生の倦怠に流されていく疲れた男、チャーリーをジャック・ニコルスンは淡々と演じる。
それは自由と競争の国、現代アメリカの姿そのものである。アメリカの正義と夢はノスタルジーなのか、それと
も命がけで取り戻すべき愛と勇気とは残されているのか。
80年代らしい社会的な問題をテーマにした骨太のアクション大作を数々のアカデミー賞に輝く名優ニコルスンと
ハーヴェイ・カイテル、ウォーレン・オーツら名脇役達が演じている。
音楽は『パリ、テキサス』『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』のライクーダーが担当。