【解説】
石原慎太郎の脚本・総指揮で、ヒット映画にもなった『俺は、君のためにこそ死ににいく』は、
日本の優しき人間愛と豊かな国土を守るために、自らの肉体を犠牲にして闘った若者、そして
彼らを見守った食堂の女将、鳥濱トメさんの実話に基づいて構成されました。
この物語は、日本という国と人間の現在のあり方を考えるとき、歴史、政治、道徳等の価値認
識において、多くの意見が交わされているテーマを持っています。
永遠不滅の大儀を信じて飛び立った若者達の人間的な苦悩。そしてそれを支える意志と愛とは
何かをこの作品は訴えています。
また本作品はi國神社の全面協力のもと、野外特設ステージで7台のカメラを使用し、08年8
月1〜5日間行われました。主役の鳥濱トメ役には実力派女優石村とも子。
併設されている博物館(遊就館)に展示された零式戦闘機が特別に使用を許可され、舞台での
プロジェクション用映像撮影が行われるなど、従来にない迫力のある演劇舞台の映像が完成し
ました。
撮影当日はゲリラ豪雨と言われた激しい雷と雨に見舞われ、公演は困難の連続でしたが、満員
の観衆は誰一人席を立つこともなく、感動のフィナーレを迎えました。
(全公演5回満席で計3000人余の観客を迎えました)
【物語】
1943年。大東亜戦争(太平洋戦争)末期、戦域を拡大した日本軍は緒戦で敗北。沖縄上陸も
時間の問題となり日本の命運はもはや風前の灯火(ともしび)だった。
鹿児島・知覧の陸軍航空基地では若いパイロット達が連日苦しい闘いを強いられていた。
残り少ない燃料や弾丸、そして戦闘機。彼らの心のより所は、まるで母親のように暖かく迎え
入れてくれる冨屋食堂の鳥濱トメの笑顔だった。
次第に悪化する戦局の中で、軍司令部は密かに「特別攻撃作戦」の要旨をまとめる。
親兄弟や妻、恋人との別離。町の女子挺身隊のコーラスの歌声に心和むひととき。仲間達との
友情と戦争に対する心の葛藤。様々なドラマを生みつつ、永遠不滅の大儀を信じて若者達は飛
び立っていく。
河合軍曹は出撃の日、トメに言った。「俺はきっと帰ってきます。ホタルになって・・・」
【映像特典】
本編をご覧になった後でも、前でも! 14分のメイキング映像をお楽しみ下さい。
リハーサルから会場での設営、雨の中での準備、役者達の素顔と劇団主宰・演出家野伏翔が語
るこの公演の見所やメッセージを収録。