■「マルグリット・デュラスのアガタ」とは・・
デュラスが生涯抱き続けた次兄への愛の記憶が結晶化された作品。
「ガンジスの女」(72〜73年・日本未公開) と同じ浜辺で撮影された本作品はデュラスの最後の
パートナー、ヤン・アンドレアの初出演作でもある。
冬の海辺、誰もいない別荘の一室で、愛し合いつつ別れなければならない兄妹の対話が続く。
海、廃墟、幼年期を象徴するブラームスのピアノ曲。アガタとは妹の名前であると同時に二人が幼
き日々を過ごした別荘の名前でもあり、何度もその名前を口にするたび土地の記憶と愛の記憶とが
混じり合う。今日に至るまで愛し合い、禁じられた情熱に身をゆだねた兄妹。二人の瞳は共に犯し
た罪の想いを秘め、互いに相手を失う恐れにおののく。
情熱と別離。持ち続けることの出来ない、表現しようとしても出来ない、演ずることの出来ない、
心のときめき<形>に復元することの不可能さ。本作の登場人物がマルグリット・デュラスの声を
かりて語るそれは・・・<情欲のときめき>である。
モノローグで語られる独特のスタイルによって、ノスタルジーは高揚され、心の傷は深まり、狂気
の情熱は昇華されていく・・・。
まさしく<幸福>についての映画である。
【ものがたり】
アガタは自分の生まれた年に、両親の買った海辺の別荘ヴィラ・アガタで10代の数年間の アガタと兄の隣り合った寝室は互いに音が筒抜けだった。
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Agatha
ou Les Lectures illimitees
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